何故私は彼女を殺し、その肉を食らったのか。

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008| 惰性で生きる、そんな人生に保険をかける
 創作文芸サークル『ブランジァン』主催のオンラインセッション、本年度キャンペーンシナリオ『外なる神々の囁き』、その基本システムとキャラクターメイキングに関するルールがオフィシャルサイト上で発表された。
 参加したいと思えない。オンラインセッションに参加している自分の姿を想像すると、胸が張り裂けるような喪失感に圧倒される。しかし私はキャラを創る。参加費は既に振り込んでいた。最終回よりずっと前、あの喪失を知る前に、私は四キャラクター分の参加費を一括で納入した。金さえ払えば複数のキャラクターを作成出来るし、複数のシナリオに参加することだって許可される。アウレーリアの扱いに不満を感じていた私は、まるで保険をかけるように、チンポをしごいて得た金で四キャラクター分の権利を買った。
 参加を辞退することは出来た。「『基本システムとキャラクターメイキングに関するルール』が発表された日から一週間以内であれば、クーリングオフが適用される」と公式サイトに明記されている。だけど辞退は出来なかった。傷ついていることを誰にも知られたくなかった。たかがゲーム、たかが二次元、たかが非実在少女。存在しないものによって己の存在を脅かされる私のこの滑稽さを、誰にも知られたくなかった。
 私はブログを新たに立ち上げ、『外なる神々の囁き』用に作成したキャラクター設定をアップした。
 ハンドルネームは変えなかった。消えた、と思われたくなかったのだ。とはいえアウレーリアに関する記事は、読み返すことすら出来なかった。ブログの記事のタイトルが視界に入ってくるのも苦痛で、しかし削除することは私のプライドが許さない。だから「ゲームごとにブログを分けることにしました。その方が目当ての記事を探しやすくていいと思います」などともっともらしい口実をぶち上げ、私は過去を分断した。
 消してしまいたいわけではない。ただ、触れてほしくないだけだ。
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Copyright © 『アンチ・シンデレラ』 白木紅愛・作. all rights reserved.
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