何故私は彼女を殺し、その肉を食らったのか。

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036| かつて神を愛した者
 外なる女神アーウィナはかつて、大地母神レーナとしてこの世界を創造した。しかしその存在を快く思わなかった月と夜の女神リューネは、兄であり世界の統治者でもある太陽神イリスをそそのかし、レーナから地母神としての力を奪った。
 この仕打ちに怒ったレーナは、リューネに報復を企てた。しかし神としての力を失ったレーナは女神リューネに惨敗した。そしてリューネを溺愛する太陽神の怒りを買い、世界の外側に追放された。
 イリスとリューネの兄妹神は、大地母神の功績を自らのものにしただけでなく、レーナの存在そのものをなかったことにしたのだった。外なる世界の障気によって異形の魔物となったレーナは外なる女神アーウィナとして、かつての己が生み出した世界を破壊しようとする。アーウィナはイリスが許せなかった。レーナは愛するイリスのためにこの世界を創造した。かつての想いは憎悪となり、この世界に牙を剥く。
 それがA、Bシナリオの主要NPC女神アーウィナの設定だった。
 A、Bシナリオの監修は乃木菜月の担当で、第七回リプレイ小説とともに公開されたこの記事の末尾にも彼女の名前が記されていた。
 彼女の書いたテキストを、私は何度も読み返した。
 彼女もどこかのセッションで私のような思いをしたのだろうかとふと思い、たとえそうであったとしても作品として昇華して周囲の支持を得ている彼女は私とは違うのだと思い、そもそも私は星野さんを愛していなかったのだからたとえアーウィナのエピソードが彼女の心象風景から生まれたものであったとしてもやはり彼女の経験は私とは違うのだと思い、そもそも私は憎悪の裏には愛があるという考え方には懐疑的だからやっぱり彼女の見ている世界に私は共感出来ないと思い、私は乃木菜月にはなれない、乃木菜月は私ではない、そんなことを思いながら、私は彼女のテキストを何度も読み返していた。
 読んでいると胸が軋んだ。どこまで行っても私は孤独で、得られるものなど何もない、そんなことを痛感しながら、その痛みの中でのみ、私の抱える苦痛によく似た痛みがこの世にあることを、それを知る者がこの世のどこかに存在することを、私はとても身近にリアルに感じることが出来るのだ。
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Copyright © 『アンチ・シンデレラ』 白木紅愛・作. all rights reserved.
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