何故私は彼女を殺し、その肉を食らったのか。

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★アンチ・シンデレラ(正式版)公開のお知らせ★
このブログの加筆修正版(正式版)を外部サイトで公開しています。
おかしな文章や説明不足の点を修正し、新規エピソードの書き下ろしもおこないました。
ブログ版を読んでいただいた方にも読んでいただければと思っています。

pixiv
アンチ・シンデレラ(正式版)【1】
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1953887
アンチ・シンデレラ(正式版)【2】
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1953930

小説家になろう
http://novel18.syosetu.com/n0286bn/
※警告を受けたためR-18作品として再投稿いたしました。(2012/2/2)

FC2小説
http://novel.fc2.com/novel.php?mode=tc&nid=164731

正式版の更新情報はこのエントリでお知らせします。
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☆★ 更新情報 ★☆
こんにちは。作者の白木紅愛です。
『アンチ・シンデレラ』はブログ型小説です。
ブログのエントリ、という形を借りて物語が進行します。

このブログは、一般的なブログとは異なり、古い記事から順に表示する設定になっています。つまり、このブログを上から順に読み進めていくことで、物語を時系列順に追うことが出来ます。カテゴリ表示や月別アーカイブについても同様です。
初めてお越しの方は、表示順にご覧ください。




●更新情報


2013年1月31日(木) 正式版をpixivにアップ、それに伴いブログ版のユカの生年月日を修正。
2013年1月3日(木) 045「放棄」 046「乃木菜月」(第一部完結)
2012年12月18日(金) 037「リプレイ小説より抜粋【5】」 038「愛着」 039「リプレイ小説より抜粋【6】」 040「マインドレイプ」 041「振られ男の捨て台詞」 042「ひとつになれない」 043「TRPGは人間同士でおこなうゲームです」 044「神との決別、という名の宗教」
2012年12月15日(金) 034「殺意」 035「アイのコクハク」 036「かつて神を愛した者」
2012年12月6日(木) 030「リプレイ小説より抜粋【4】」 031「それはすでに潰えた夢」 032「鳴らない電話」 033「楽しさの格差」
2012年11月28日(水) 029「リプレイ小説より抜粋【3】」
2012年11月27日(火) 027「TRPGはコンピューターゲームではありません」 028「人気者の素顔」
2012年11月26日(月) 024「再会予定日」 025「ブランジァン主催のオフ会にて」 026「リプレイ小説より抜粋【2】」
2012年11月22日(木) 022「リプレイ小説より抜粋【1】」 023「置き去りにされたままの」
2012年11月21日(水) 021「招かれざる客、比佐田キリア」
2012年11月20日(火) 020「緩慢な自殺」
2012年11月19日(月) 018「誘惑」 019「初回のセッションを終えて」
2012年11月17日(土) 017「アリス・ウォーターリリーの裏設定」

また、11/19から本編にあたる記事のタイトルにナンバリングを添えました。


過去作品『家出少女日記。~姉に恋した私~』はこちらです。
ツイッターは kurea_shiraki です。

プロローグ
 かつては彼女だったものが尻の穴から滑り落ちる。
 かつては彼女だったものが体の外に排出される。
 かつては彼女だったもの、乃木菜月として知られた個体を構成していた有機物が、今や排泄物となり、便器の奥に落下した。
 乃木菜月。生きることに失敗し、死ぬことにすら失敗した私にもう一度だけ頑張ってみよう、と希望を与えてくれたひと。相入れないものばかりの世界にひとりで生きているのは決して私だけじゃない、と勇気を与えてくれたひと。決して私を愛することなく、生きることすら棄てた私にさらなる孤独を教えたひと。愛しく憎い乃木菜月。憎むがゆえに私もまた、彼女の選択、彼女の行動、彼女の存在そのものを受け入れることが出来なくなった。私にとって彼女は希望、灯火だったはずなのに。
 彼女を殺して肉を食らえば、ひとつになれると思っていた。
 彼女を己に取り込むこと、それが最後の希望だった。
 だけど私の体は勝手に彼女の肉を消化して、かつては彼女だったものを汚物として排泄した。私の意思は彼女のすべてを強く欲しているはずなのに、体は都合のいいものだけを選び取って吸収し、私に無断でそれ以外を不要物と断定する。なんて身勝手なんだろう。私という個の存続は、愛も憎悪も軽視した身勝手によってなされている。ああそうだ、だからこんな結末しか迎えることが出来なかった。私という個を存続させるために私自身すらをも裏切る、エゴイスト極まりないこの肉体の在り方こそが、私自身の精神性、生き方そのものだったのだ。

001| このブログについて
 私はいかにして殺人を犯し、肉を食らうに至ったか。
 それを記述するために、このブログを開設した。
 とはいえ私の回顧録を人に見せるつもりはない。私の犯行は完璧だ。法の裁きを受けることなく、理解も誤解もされることなく、人の手の届かない場所に彼女とともに行ってやる。書き残すのは、刻むためだ。他社の記憶の中にではなく、死にゆく私自身の中に、誰にも触れられることのなかった己自身の痕跡を刻むためだけに書いている。
 ブログに投稿した記事はすべて非公開状態になっている。
 国内だけでも数千万のブログが漂うこのご時世、無名の個人の開設した非公開記事の内容を覗き見る者はいないだろう。
 このテキストは消え失せる。私の死後十年も経たないうちに消え失せる。人目に留まることもなく、記憶に残ることもなく、ブログを運営している企業の経営上の事情から、保存中のデータはすべて消え失せてしまうだろう。だから私は書き残す。これは自分に宛てた遺書だ。
 なお、万一の場合を考えて、テキスト内の固有名詞はすべて仮名に置き換えた。凶悪事件の捜査のために国内のウェブサービス上のデータファイルを一斉検索されることがないとは言い切れないからだ。
 私の彼女に対する愛は、誰にも触れさせはしない。
「腐女子の起こした凶悪事件」「現実と空想の区別がつかない痛いオタクの起こした事件」「メンヘラ腐女子の電波レズ」「愛ゆえのカニバリズム殺人」……そんな風に矮小化させるつもりなどないからこそ、私はすべての真実をこの世に置いていくのだ。

002| 私に関する覚え書き
 私の名前はユカ。ハンドルネームはアネモネ。一九八八年三月十四日生まれ、二十四歳。第一子にして長女。自分の名前は好きではない。
 両親の馴れ初めは知らない。一度、母に尋ねたことがあるが、答えようとはしなかった。二十歳の頃に戸籍謄本を見て、両親がデキ婚だったことを知った。何故母がいつも不機嫌だったのか、何故母がいつも私に当たり散らしていたのか、そのとき初めて合点した。ああ、私が出来たせいで結婚しなければならなかったのか、中絶してくれればよかったのに、と心の底から思った。
 きょうだいは弟と妹がひとりずつ。弟は重度の発達障害で、私や妹の目の前で平然と自慰行為に耽る。見られることによって興奮するのではなく、他社の存在を意識出来ないのではないかと思われる。弟と口を利くことはない。関わり合いになりたくない。
 一方、私と妹は幼い頃から仲が良く、小学生のときにはキスをした。しかし今は絶縁状態。両親に顧みられることのなかった妹は唯一の庇護者として私を求めただけだったのだろう、私の愛情を試すように無理難題を押しつけるようになった。一緒に出かけたいと言って私にバイトの休みを取らせ、いざ当日になると、妹は友達を呼びだして「なんでお姉ちゃんがついてくるの」と私を邪魔者扱いする。そんな理不尽なわがままに私がキレたからだった。
 話を私自身に戻す。小学校六年生のとき、将来の夢というものを抱けなくなった。夢だけでなく目標も、持つことが出来なくなった。何をしても無駄に思えた。ただ、金持ちにならなければいけない、という強迫観念だけがあった。十代の頃から風俗勤務、まるでホストにハマるようにネット上の有料ゲームにハマった。いわゆるネトゲの類いではなく、創作文芸系の同人サークルが主催するTRPGのオンラインセッションだった。
 TRPGとは、テーブルトーク・ロールプレイングゲームの略である。テレビゲームの中にRPGと呼ばれるジャンルがあるが、そのシナリオ進行役を人間が務め、ダイスを使った判定と参加者同士の会話によってゲームを進めていくものがTRPGと呼ばれている。それをネット上で行うのが、オンラインセッションというわけだ。
 乃木菜月とは、そのサイトで知り合った。
Copyright © 『アンチ・シンデレラ』 白木紅愛・作. all rights reserved.
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